アルミ・ニッケル クラッド材の利用について

アルミ・ニッケル クラッド材は、アルミとニッケルを張り合わせた素材です。これを利用すると、通常では溶接しにくいアルミ箔に、半田付け可能なニッケルを容易に溶接できるようになります。これは、電気抵抗が小さいため少々の電流では発熱しないアルミニウムを、発熱の大きなニッケル側から加熱してアルミニウムの温度を上昇させるからです。単にニッケルが発熱するだけでなく、その熱でアルミニウムが加熱されるためアルミの電気抵抗が上昇しアルミ自身も発熱するためです。理科年表等から数字を拾いました。

          -195℃  0℃  100℃  300℃  700℃   1200℃
アルミニウム    0.21  2.50   3.55    5.9   24.7   32.1
ニッケル      0.55  6.2   10.3   22.5   40    109(1500℃)
ステンレスSUS304     71    78    93  100(400℃) 116(650℃)

数値は電気抵抗率[μΩcm] (体積抵抗率、比電気抵抗ともいう)
R=ρℓ/a   R:電気抵抗(Ω) ρ:電気抵抗率(Ωm) ℓ:線長(m) a:断面積(m²)
電気抵抗率100μΩcm、断面積1mm2、長さ1mの金属の抵抗値は1Ω です。

電気抵抗率の小さいアルミニウム(100℃で5.9)もニッケル側の発熱で700℃まで温度上昇した場合は、ニッケルと同様の電気抵抗率となり、アルミニウムの発熱も期待できることがわかります。 実際にどこまで温度が上がっているか調べていませんが、1気圧のもとで、ニッケルの融点は1455℃、アルミニウムの融点は660℃と理科年表にあるので、ニッケルの温度上昇がアルミニウムの発熱を促進し、アルミニウムの融点に達して溶接が行われると考えられます。
 以上のことから、アルミニウムの溶接を容易にする、アルミニッケルクラッド材が活躍する場が広がりそうです。もし、アルミの溶接が不安定でお困りの方がいらっしゃいましたら、アルミニッケルクラッド材を試してみてください。

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